・黒のストライカ 2
著:十文字青 刊:MF文庫J思春期の男の子の欲望が暴走しちゃって椋朗君が大変大変、の巻。
椋朗とタヤチナの過去とか、白の血族との因縁が色々明らかになるかなと思ったら、新キャラ登場&椋朗へのエロコメイベント増量がメインで、ちょっと肩透かしかも。
ということで、能力の代償で色々抑えきれなくなった椋朗君が、襲い来る誘惑の数々を頑張って跳ね除けるのがメインです。終盤には一応バトルもあるんですが、特に椋朗に因縁のある敵でもなく、インパクトも薄いため、正直なんで出てきたのやら……
まだ2巻ではあるんですが、ラブコメとシリアスのバランスが、まだ上手く取れていないように思えますね。前巻でも、シリアスなシーンで、突然「爬虫類が苦手だから本気出せない」みたいなコメディが挟まってテンションが下がったこともありましたし、今回のほぼ全編ラブコメ仕様については、もうちょっと何とかできなかったモンかなと。
十文字氏って、こういう「日常系ラブコメ交じりの話」は苦手なんでしょうかねぇ…
・神なる姫のイノセンス 3
著:鏡遊 刊:MF文庫J……いや、いいですけどね。7人攻略しなきゃならないって言ってるのに、今んとこキャラ数が足りてないのも分かりますし、どっかで「新キャラ一気に追加!」イベントがあって然るべきでしょうし。
しかし、既に登場している未攻略キャラを放置して新キャラに向かうのは、その、どうよ?
ということで、今度こそ慧の出番だと思っていた、全国三千万人のボクっ子ファンが涙を流したとかなんとか。かなみ→澪と来たら次は慧じゃないのかい?
ストーリーは「新キャラ登場&新展開!」でしょうか。頭数が足りてなかったヒメ神候補を補充しつつ、秘密のありそうな千華の登場で、今後の波乱も予感させるといった展開。
新キャラ補充が目的の割に、既存キャラとのイチャラブイベントで枠を取っていたり、新キャラその2・朱音の登場が遅い上に唐突だったりと、ちょっと目的がぶれている感じもしますね。慧とのドキドキ地下迷宮探索イベントとかも、この巻でやるべき話だったのかどうか。
まあ、これでしばらくは補充も必要ないでしょうし、次こそは慧攻略を進めてくれると信じています。頼むから朱音と同時攻略とかはやめてくださいねマジで。
・まよチキ! 6
著:あさのハジメ 刊:MF文庫J体育祭編&奏覚醒編。
謎のベールに包まれていた手芸部最強の副部長・シュレディンガー先輩が登場して、体育祭で色々無茶な競技に参加させられるというストーリー。
一応メインイベントは、サブキャラの先陣を切って突撃したナクルの告白だったような気がしますが、ヘタレな割に結構あっさりキンジが断っちゃって撃沈。キンジの好感度が足りてませんでしたね。
また、ナクルに今巻で告白させるんなら、もうちょいナクルをメインに押しても良かったのでは。ストーリーに絡むのはいつもの主従コンビとシュレ先輩がメインで(たまにマサムネ)、ナクル自身は中盤すっかり姿を消しちゃってますしね。
で、次回への引きとして平行して語られていたのが、奏お嬢様覚醒編。ちょっと方向性はアレですが、これもまた愛の形なのでしょう。スバルに遠慮せずに苛め抜くことを決意したお嬢様無双は、次巻も続きそうです。
そして今回のスバル様はというと……メインヒロインらしく、ラブコメ&ラッキースケベイベントを担ってはいるのですが、話に絡んだとは言えないですね…もうちょっとニヤつける会話をしてくれると嬉しいんですが。スバル様頑張れ。
・斬光のバーンエルラ Ⅲ
著:穂村元 刊:MF文庫Jとりあえず3巻打ち切りは回避。
ターヤを仲間に加えて、第3王子の元に向かった一向が、追っ手に追われたり傭兵から狙われたりする話。
なんか紹介がやっつけなのはアレです、詰め込みすぎだからです、色々。
第1、2、3王子が一気に登場して、それぞれ人となりが語られるわけですが、どれもが「名前と性格をちょろっと描写しました」程度に収まっていて、「とりあえず王子全員出さなきゃいけないから出してみました」のようにしか見えないんですよね。会わなきゃいけない王子が7人もいるって設定が無茶だったのかもしれませんが…
ハーレムラブコメ物としては、ターヤがいち早くレネへの恋心を表明し(前回キスしてんだから今更ですけども)、ティナがそれに煽られるように自分の気持ちに気付いたりと、大きく動いてはいるのですが、レネと直接絡んでるわけではないので、見所としてはイマイチ。また、ストーリー上では「体力が足りずに足を引っ張っているから」という理由で、シャルが旅の一行から離脱しています。これも正直どうかなと思うわけで。出したはいいけど、扱いきれなくなったキャラクターを放り出した、ようにしか見えないんですよね。考えすぎかもしれませんけど。
後書きによると次回は最終決戦らしいのですが、王子戦以外にも他国との戦争フラグとかが立っていて、さてまとめきれるのかどうか。最終決戦=最終巻じゃないってオチならいいんですが…
・ほうそうぶ2
著:宮沢周 刊:スーパーダッシュ文庫タイトルの読み方は「ほうそうぶのじじょう」だそうで。
世界的名探偵を父に持ち、自分も名探偵を志す少年・沙門が、とある高校で暗躍している、「兎レポーター」の正体を掴むため、放送部に入部し、容疑者の4人の少女について調査を始める、現代学園コメディ。
探偵物なのにミステリーではないのは、まあ察してください、というわけで。
中盤までは兎レポーターの正体は誰かを探ったりしているのですが、犯人は1人ではなく4人全員だった、ということが判明してからはアクション物に方向転換。アクションといってもコメディ色が強いものなので、どっちかというと「ドタバタ」と表現するのが一番かも。
中盤までの探偵物+日常コメディと、ラストの不条理ギャグバトルの食い合わせが悪く、全体のバランスが崩れてしまっている感じ。ネタとして見るなら、「勘で犯人が分かる名探偵モード」とかは笑えていいのですが、それまでの話と雰囲気が違いすぎるもので。
明らかに犯罪行為を働いていた犯人たちの処分が軽すぎるのも、やや納得行きませんし。最後にあのバトルで締めるのであれば、もっとレポーターの活動をコメディ寄りにしてよかったと思うんですよね。あんなにダイレクトに性犯罪に繋がっちゃうと、どうしてもシリアスに流れてしまいますし。
・ニーナとうさぎと魔法の戦車 2
著:兎月竜之介 刊:スーパーダッシュ文庫後書きによると、新人賞では「続編を意識しすぎる作品の書き方はダメ」と言われているそうですが、1巻の敵があんまり強大すぎてもダメなんじゃないかと思うわけで。
ということで第2巻です。ラビッツと別れ、両親を探していたニーナが、難民が集う開拓村で暮らす両親と妹を見つけたものの、開拓村が、かつてニーナをこき使っていた盗賊・ジャコモに苦しめられていることを知り、彼らを救うために立ち上がる、というストーリー。
終盤、街の人のために行動していたと思われていた市長・テオドーレが全ての黒幕であると分かり、再会したラビッツの面々と共に戦いを挑む展開になるわけですが、前回のボスが巨大ロボだっただけに、今更戦車vs戦車かあ、という気も。あんまりガチな戦車戦にもなりませんでしたしね。むしろ前座であるvsジャコモ戦の方が枠を取られていたりも。
テオドーレについては、中盤くらいから「ああ、なんか黒幕っぽい」という空気を醸し出していたのですが、というか消去法でもうテオドーレしかいないよねキャラ的に、な感じだったのですが、ちょっと行動には疑問が残ります。ジャコモが開拓村を襲い、人を攫ってテオドーレに流していた。ニーナのおかげで開拓村の窮状が明らかになってしまったので、用済みになったジャコモを切り捨てた。という構図で、最初から難民を研究に利用するつもりで招き入れた、という主旨の話をしていたんですが、村に警備を置かないのは、難民側から出た提案ということになっています。ここで「警備くらいはお願いします」と言われたらどうしてたんでしょう。ジャコモの襲撃自体出来なかったのでは。また、ジャコモが好き勝手出来たのは、難民が被害にあっても市長に申し出なかったからですが、これも(それこそニーナ以前にフランカがやっていたように)誰か1人が勇気を持って、市長に陳情してしまうとアウトですよね。
もちろん、テオドーレがそういう話になるように誘導したとか、問題があっても申し出ることの出来ない難民の弱さを見抜いていたとか、そういった理由付けはいくらでも出来るですが、どうも「結果オーライ」の度合いが強すぎるような。考えすぎでしょうか。
テオドーレたちが、最終的に自殺という形で決着したのも、やや不満の残るところ。前巻では、彼らよりもよっぽど恨んでいる相手を、殺さずに司法に引き渡すという選択をしたのですから、今回も「死なせないで罪を償わせる」というように動いてほしかったところです。
1巻と比べるとちょっとスケールダウンした感のある2巻ですが、独特の魔法戦車を使った世界観は健在ですし、何より幼女ボクッ子で妹属性なソーニャとか魅力的な新キャラもいますので、1巻が面白かった人はそのまま継続して購入してもいいのではないでしょうか。
でも文字と文字の間を空ける強調法はやめたほうがいいと思います。「市 長 さ ん た す け て !」とか。ネットでもちょっと古臭い書き方ですし、小説には合わないかと。
・シアター!2
著:有川浩 刊:メディアワークス文庫1年ぶりのシアター新刊。
前巻とはちょっと趣が異なる構成で、鉄血宰相・司の采配で公演を成功させようとするエピソードではなく、公演と公演の間に、各メンバー間で起こった出来事を、短編連作のような形でまとめたストーリーとなっています。
有川氏らしいラブコメ要素大増量で、有川ラブコメが好きな自分としてはにやにやしながら楽しめたのですが、前巻の「潰れかけた劇団をどう立て直すか?」というサクセスストーリーを気に入っていた人にとっては、やや肩透かしだったのではないでしょうか。
公演の黒字額も、「こういうイベントがあって最終的にいくらでした」という結果が語られているだけなので、ちょっと寂しく思えてしまいますし。
ただ、次がラストということですし、あまり1つの公演に対して枠を割いても仕方のないことかもしれません。登場人物が多いシリーズですし、最終巻の手前で、各キャラの掘り下げを行ったのは間違いではないかと。前述の通り、ラブコメ要素としては十分楽しめますしね。巧と牧子はもちろん、小宮山とゆかりとかも。千歳の影が薄くなっちゃってるのはちょっと残念ですが。結局司と巧、どっちが好きなんでしょうかねこの子は。
・姉鬼あんりみてっど
著:会川潮 刊:スーパーダッシュ文庫興奮すると頭から角が生え、人間離れした腕力を行使できるようになるという秘密を持った姉・いばらと、いばらが角を出してしまったときに、それを鎮めることが出来る弟・桃朗が、数々のトラブルに巻き込まれながら、騒がしい日常を過ごす、現代ファンタジーコメディ。
過去にもいくつかあった、「日本語・構成の怪しいスーパーダッシュ文庫」ですね……意味が通らないほど酷くはないのですが、地の文での説明が不足していたり、話にオチがつかないまま場面が転換していたり、ちょっと読みづらい文章になっています。スーパーダッシュの新人賞はこういう作品が多いんですが、ちゃんと校正しているのでしょうか。
悪文は脇に置いておくとしても、ストーリーもそれほど目新しいものではなく、人外少女+ブラコン姉属性を持ついばらをメインにしたコメディ物。終盤ちょっとシリアスなバトル展開にもなるんですが、相手役の尊が序盤に謎めいた登場をした割に、ほとんど追及されないまま同居人になって、中盤まで仲良く暮らしてやがるので、どうもバトルに必然性が感じられません。
尊の男装少女設定にしても、別に効果的に使っているわけでもないですしねえ……
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